腹式呼吸や胸式呼吸という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますし、腹式呼吸がいいという話しも聞くことがあります。
しかし、吸った空気は肺に入ってお腹に入るわけではないので、なぜに腹式呼吸や胸式呼吸と言い分けているのか不思議に思われる方もいるかも知れません。
そこで、腹式呼吸と胸式呼吸の違いや、それぞれの特徴について述べていきます。
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腹式呼吸と胸式呼吸の3つの違いと特徴
腹式呼吸と胸式呼吸との違いは、膨らむ場所や刺激を受ける自律神経、そして呼吸の深さがあります。
腹式呼吸お腹を動かして呼吸を行ないますが、肺よりも膨らみ易いために大きくお腹を動かして深い呼吸を行なうことができ、深い呼吸を行なうことで、肺に取り込まれる酸素の量が増えて血流が多くなります。
そして、深い呼吸を行なうことは横隔膜を大きく動かすことになり、繰り返して腹式呼吸を行なうことで副交感神経が刺激されて、セロトニンが分泌されます。
分泌されたセロトニンは血圧や心拍数を減少させて心を落ち着かせると同時に、内臓の活動を活発にして結果的に免疫力を高めます。
このようにして、腹式呼吸によって深いリラックスの状態になることができますが、副交感神経が過度に刺激され過ぎるとリラックス過剰になって、ヤル気を無くしてうつ病の症状が出ることもあるので、注意が必要になります。
それに対して胸式呼吸はお腹は動かないで胸が動いて行なう呼吸になりますが、肺の動きは肋骨で抑えられているために限られた狭い範囲の動きになり、胸式呼吸で深い呼吸を行なうには意識して胸を張って深呼吸を行なうことになります。
その結果、自然に行なわれる呼吸は腹式呼吸に比べて浅くなり、その分呼吸を行なう回数が増えていきます。
そして肺に入る酸素量は腹式呼吸よりも少なく、血液中の酸素も腹式呼吸に比べて少なくなります。
浅くて速い呼吸は交感神経を刺激して血圧や心拍数が増加しますし、意識がはっきりして脳や身体の活動が活発になり、興奮状態に入り易くなりますが、ストレスが過度に高まると過呼吸に陥る場合もあります。
このように腹式呼吸と胸式呼吸の違いは、膨らませる場所が違うだけではなくて、相反する働きをそれぞれの呼吸が担っているということになります。
まとめ
実際に空気が入るところは同じなのですが、腹式呼吸と胸式呼吸の違いは入る量が変わらない貯水タンクと、入る量を調整することができるアコーディオンのジャバラの違いともいえるかもしれません。
ですから、この違いを認識して状況に応じて使い分けることができるとより健康で快適な生活を過ごすことが可能となります。