呼吸法には胸式呼吸と腹式呼吸がありますが、呼吸法の違いによって胃腸への働きが違ってきます。
そこで呼吸法の違いによる胃腸への働きの違いについて、胃腸の働きを活発にする呼吸法と合わせて述べていきます。
自律神経と胃腸の働きの相関関係
自律神経には交感神経と副交感神経があり、お互いが相反する働きをしています。
具体的には交感神経は日中に活発に身体を動かすときに働く神経になり、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されることによって交感神経が刺激され、その結果血管が収縮して心拍数や血圧が上がったり、気管が拡張したりします。
そして交感神経が刺激されると胃腸の働きが低下していくために、ストレスなどで交感神経が刺激され続けていると結果的に免疫力が低下して、風邪などの病気にかかり易くなってしまいます。
一方副交感神経が刺激されると血管が拡張して心拍数や血圧が下がり、副交感神経が胃腸の働きを活発にしていくために、結果的に免疫力が高まって風邪などの病気にかかり難くなります。
呼吸法と自律神経の相関関係
呼吸法には胸式呼吸と腹式呼吸がありますが、胸式呼吸は基本的に肋骨や横隔膜が動くことで行われる呼吸法になります。
そして胸式呼吸で働く横隔膜は運動神経と感覚神経そして交感神経を含んでいる横隔神経という神経に支配されているために、基本的に意識的に動かすことが出来ません。
そのため胸式呼吸を行なうときの横隔膜は、腹式呼吸に比べてあまりに大きく動くことが出来ません。
その結果呼吸が腹式呼吸に比べて浅くなってしまうために、激しい呼吸を行なうことで交感神経が刺激されて血圧や心拍数が上がっていきます。
一方腹式呼吸は肋骨を動かさないでお腹を膨らませたり凹ませることで、半ば強制的に横隔膜を動かすことが出来、その結果胸式呼吸よりも多く肺に酸素を送り込むことが出来る呼吸法になります。
そしてこの腹式呼吸を継続的に行なうことでセロトニンが分泌されていき、その結果副交感神経が刺激されて血圧や心拍数が下がって、不安や緊張から解放されていきます。
胃腸の働きに効果的な呼吸法のコツ
胃腸の働きに効果的な呼吸法は横隔膜を大きく動かすことが出来る腹式呼吸となり、その腹式呼吸を行なうコツは、最初に長くゆっくりと吐いてから、吐き切った反動で吸うように息を吸うことになります。
具体的にはへその下3cm~5cmに両手を置き、その両手を置いた位置のお腹を凹ませながらゆっくりと口から息を吐いていきます。
そしてお腹がこれ以上凹まないという状態になったらその状態のままでお腹に力を入れて息を吐き切ります。
息を吐き切ったらその反動でお腹を膨らませながら鼻から息を吸っていきますが、このとき吸う息の長さよりも吐く息の長さを長く吐くように意識して行ないます。
まとめ
呼吸法によって胃腸への働き方が違ってきて、胸式呼吸は交感神経を刺激することで胃腸の活動を抑える働きがありますが、腹式呼吸は副交感神経を刺激することで胃腸の働きを活発にしてくれます。
そのため状況に応じて呼吸法を使い分けることは、胃腸の働きにも有効になる可能性はあります。